昔、一人(の王(がいました。
王(は都(から遠(く離(れた田舎(の反乱(を鎮(めるために、軍隊(を率(いて出(かけていきましたが、さんざんな負(け戦(に終(わりました。
王(は部下(ともはぐれてしまい、一人(で逃(げる途中(、ある村(を通(りかかりました。
鎧(を着(て兜(をかぶった者(が一人(で馬(を走(らせてきたのを見(て、村人(たちは驚(き、一目散(に家(に逃(げていってしまいました。
逃(げようとしない村人(が一人(だけおりました。
その村人(は、その人(の疲(れ切(った様子(を見(て、立(ち去(ることが出来(なかったのです。
村人(は自分(の家(へ案内(し、ご馳走(を作(って食(べさせたりしました。
数日(たって、王(の疲(れはすっかり癒(され、城(に帰(ることにしました。
「本当(に、色々(とありがとう。私(の家(は都(の真(ん中(にありますから、ぜひ都(へ遊(びにおいでなさい。南(の門(の入(り口(に立(って、門番(にマハーアッサーローハに会(いたいといえば、案内(してくれます。」といい残(して去(っていきました。
王(が帰(ってくると、王(は門番(に
「マハーアッサーローハの家(はどこですか」と尋(ねる者(が来(たら、連(れてくるように命(じました。
王(は村人(の親切(に対(して、恩返(しをしたかったのです。
ところが、王(が毎日(首(を長(くして待(っていても、村人(はやって来(ませんでした。
王(の村人(に会(いたいという思(いは強(くなり、村人(の住(んでいる村(の税金(を上(げました。
そうすればあの男(が交渉(のためにやってくるに違(いないと考(えたからでした。
......村人(は都(にやってきました。
南(の門(に着(いて、「マハーアッサーローハさんの家(はどこでしょうか」と尋(ねると、門番(はすぐさま城(の門(まで案内(しました。
迎(えた王(は村人(に対(し、自分(と同等(の相手(でなければ出(さないような食事(をご馳走(し、王(と同(じような服装(を用意(させたりしました。
「王様(、これは少(し行(きすぎではありませんか。大切(にしていただくのはありがたいのですが、私(は村(の税金(を下(げていただくためにやってきたのです。」
不安(になった村人(は王(と二人(きりになったときに言(いました。
「あなたは私(の命(の恩人(なのだからこれくらいのお礼(は当然(のことだ。私(にとって今(必要(な人(はあなたのようになんの欲(も持(たないしっかりした人物(なのだ。私(を助(けると思(って、政治(を助(けてもらいたい。」と王(は答(えました。
村人(を大事(にするだけでなく、どうやら政治(のことまで相談(している様子(に、大臣(たちは怒(り出(しました。大臣(たちは王子(に王(をたしなめるよう頼(みました。
王子(は早速(王(のところへ行(き、たしなめると、王(は言(いました。
「王子(よ、戦争(に負(けたとき私(がどこにいたか、お前(は知(っているか。私(が全身(傷(だらけで逃(げて帰(る途中(、あの村人(の家(で世話(を受(け、それで助(かったのだよ。こうして国(を治(めることができるのもあの村人(のおかげなのだ。その恩人(を大事(にしてどうして悪(いのだ。王子(よ、施(しという言葉(があるが、施(すべきでないものに施(し、施(すべき者(に施(さない者(は不幸(に陥(ったようなときに本当(の人(の助(けを得(ることはできないのだ。」
王子(は王(の本当(の心(を知(ったのでした。大臣(たちも王子(から話(を聞(いて、それからはなにも言(わなかったとのことです。
(ジャータカ三〇二)