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仏教童話『王と村人』

日付:2011年10月19日 関連記事:仏教文化第153号

 むかし一人ひとりおうがいました。

 おうみやこからとおはなれた田舎いなか反乱はんらんしずめるために、軍隊ぐんたいひきいてかけていきましたが、さんざんないくさわりました。

 おう部下ぶかともはぐれてしまい、一人ひとりげる途中とちゅう、あるむらとおりかかりました。

 よろいかぶとをかぶったもの一人ひとりうまはしらせてきたのをて、村人むらびとたちはおどろき、一目散いちもくさんいえげていってしまいました。

 げようとしない村人むらびと一人ひとりだけおりました。

 その村人むらびとは、そのひとつかった様子ようすて、ることが出来できなかったのです。

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 村人むらびと自分じぶんいえ案内あんないし、ご馳走ちそうつくってべさせたりしました。

 数日すうじつたって、おうつかれはすっかりいやされ、しろかえることにしました。

 「本当ほんとうに、色々いろいろとありがとう。わたしいえみやこなかにありますから、ぜひみやこあそびにおいでなさい。みなみもんぐちって、門番もんばんにマハーアッサーローハにいたいといえば、案内あんないしてくれます。」といいのこしてっていきました。

 おうかえってくると、おう門番もんばん
 「マハーアッサーローハのいえはどこですか」とたずねるものたら、れてくるようにめいじました。

 おう村人むらびと親切しんせつたいして、恩返おんがえしをしたかったのです。

 ところが、おう毎日まいにちくびながくしてっていても、村人むらびとはやってませんでした。

 おう村人むらびといたいというおもいはつよくなり、村人むらびとんでいるむら税金ぜいきんげました。

 そうすればあのおとこ交渉こうしょうのためにやってくるにちがいないとかんがえたからでした。

 ......村人むらびとみやこにやってきました。

 みなみもんいて、「マハーアッサーローハさんのいえはどこでしょうか」とたずねると、門番もんばんはすぐさましろもんまで案内あんないしました。

 むかえたおう村人むらびとたいし、自分じぶん同等どうとう相手あいてでなければさないような食事しょくじをご馳走ちそうし、おうおなじような服装ふくそう用意よういさせたりしました。

 「王様おうさま、これはすこきすぎではありませんか。大切たいせつにしていただくのはありがたいのですが、わたしむら税金ぜいきんげていただくためにやってきたのです。」

 不安ふあんになった村人むらびとおう二人ふたりきりになったときにいました。

 「あなたはわたしいのち恩人おんじんなのだからこれくらいのおれい当然とうぜんのことだ。わたしにとっていま必要ひつようひとはあなたのようになんのよくたないしっかりした人物じんぶつなのだ。わたしたすけるとおもって、政治せいじたすけてもらいたい。」とおうこたえました。

 村人むらびと大事だいじにするだけでなく、どうやら政治せいじのことまで相談そうだんしている様子ようすに、大臣だいじんたちはおこしました。大臣だいじんたちは王子おうじおうをたしなめるようたのみました。

 王子おうじ早速さっそくおうのところへき、たしなめると、おういました。

 「王子おうじよ、戦争せんそうけたときわたしがどこにいたか、おまえっているか。わたし全身ぜんしんきずだらけでげてかえ途中とちゅう、あの村人むらびといえ世話せわけ、それでたすかったのだよ。こうしてくにおさめることができるのもあの村人むらびとのおかげなのだ。その恩人おんじん大事だいじにしてどうしてわるいのだ。王子おうじよ、ほどこしという言葉ことばがあるが、ほどこすべきでないものにほどこし、ほどこすべきものほどこさないもの不幸ふこうおちいったようなときに本当ほんとうひとたすけをることはできないのだ。」

 王子おうじおう本当ほんとうこころったのでした。大臣だいじんたちも王子おうじからはなしいて、それからはなにもわなかったとのことです。

 (ジャータカ三〇二)

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