仏教童話

仏教童話『ライオンの毛皮』

日付:2017年8月10日

186-22.jpg ある地主じぬし大勢おおぜい農民のうみん使つかい、はたけたがやし、むぎきました。やがてむぎ芽生めばえ、ぐんぐんび、ひかりびて青々あおあおとそよいでいました。いつのとしも、こうして農夫のうふたちははたけたがやし、むぎつくり、みのればれてらしていました。

 そのとし農夫のうふたちがつくったむぎはたけ奇妙きみょう動物どうぶつて、びかかったむぎかたぱしからべていました。それはあたまから背中せなかにかけてはライオンであり、しっぽや背丈せたけはロバとよくているという、奇妙きみょうなものでした。
はたけらすやつをはらってしまえ。」と地主じぬしへん動物どうぶつさけびましたが、農夫のうふたちはだれひとりはらいにていくものはいませんでした。
「あれはライオンだ。おそろしい」
みな尻込しりごみしました。へん動物どうぶつは、近寄ちかよるものもいないので、悠々ゆうゆうむぎべていました。

 さて、まわりにだれもいないころを見計みはからって、一人ひとり商人しょうにんへん動物どうぶつのそばへました。商人しょうにん無造作むぞうさにライオンのあたまをつかむと、バサッとそれをはぎりました。奇妙きみょう動物どうぶつはライオンの毛皮けがわせられたロバだったのでした。商人しょうにんはロバの背中せなかくすりふくろむと、となりむらくすりりにかけました。

 商人しょうにんはロバにはなしかけました。
「おまえさん、この毛皮けがわていれば、たらふくはたけ作物さくもつえるし、人間にんげん近寄ちかよってこない。どうだ、わたしかんがえはいいだろう」

 そしてくるあさ商人しょうにん自分じぶん宿屋やどや朝食ちょうしょくべるあいだ自分じぶんのロバにまたライオンの毛皮けがわせて麦畑むぎばたけはなしておきました。ロバはむぎかたぱしかららしていきました。農夫のうふたちは自分じぶんたちがあせながしてつくったむぎべられ、はたけらされるのにたまりかねました。そして、ついにへん動物どうぶつ退治たいじしようとがりました。
「おーい、みんな、かたなゆみってまるんだ。あのみょうなライオンをやっつけてしまおう」

 農夫のうふたちは手分てわけしてれてまわりました。

 ひかりがキラキラとはたけかがやきだしたころ、ロバはみどりむぎ腹一杯はらいっぱいわりました。そのとき農夫のうふたちは一人一人ひとりひとり弓矢ゆみやち、ライオンをつかまえようとあつまってきました。やがておとこたちはほらかいき、太鼓たいこらしました。農夫のうふたちはときのこえげてライオンにちかづきました。ロバはおどろき、一声ひとこえたかくいななきました。
「あっ、ロバだぞ。ロバのこえいたぞ」

 農夫のうふたちはロバだとわかると、ぐるりとその動物どうぶつかこみました。ライオンにせかけてひとをだましたけのかわははがれました。農夫のうふたちはってたかってロバをとらえ、はたけむぎらされた仕返しかえしに、ほねくだけるほどちました。そしてライオンの毛皮けがわをはぎっていってしまいました。

 ロバははだかにされ、いきえになってよこたわっていました。そこへくすりりの商人しょうにんて、にかかったロバをました。商人しょうにんはうたをとなえました。

  毛皮けがわまとって こえてず
  威厳いげんしめせば いつまでも
  べられたのに むぎ
  余計よけいこえで 自滅じめつした
  ロバのいななき いのち

 うたわったとき、ロバはいきえました。くすりりはロバをててりました。

(ジャータカ一八九より)

カテゴリー:

  • 平成29年度(第30期)塾生
    「塾生募集のお知らせ」へ
  • 卒業後、それぞれのあゆみ
  • カリキュラムのご紹介
  • 機関誌「仏教文化」
  • 東京国際仏教塾20年の歩み
  • 塾生統計等
  • プレスリリース

東京国際仏教塾

新宿事務所 〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-4-3
町屋事務所 〒116-0001
東京都荒川区町屋1-2-1-3F

TEL:03-3809-5930 FAX:03-3809-5935

ウェブからのお問い合わせ

このページの先頭へ