仏教童話

仏教童話『ヒナの祈り』

日付:2017年3月10日

185-uzura.jpg むかし、マガダこくのあるもりなかで、ひとつのウズラのたまごから、ヒナがまれました。両親りょうしんはこのヒナがかわいくてしょうがなく、毎日まいにち色々いろいろところからヒナのえさをはこびました。

 そのころ、たちのんでいるもりではよく山火事やまかじきていました。ウズラのヒナはまだ十分じゅうぶんはねえそろわず、はしることさえ出来できませんでしたが、そんなおりおそろしい山火事やまかじもりおくこったのでした。

 もり木々きぎえだからとりたちがはじめました。次第しだい気配けはいつよくなるなかおやウズラたちはソワソワしていましたが、すぐとなりもりえだもええるおとがしはじめ、そらあかまっているのをると、ウズラをのこし、あたふたとってしまったのでした。

 ウズラのヒナはながれてくるけむりなか火事かじというおそろしいものが自分じぶんのそばにちかづいてくるのをりました。「たすけて」とさけんでもみんなどこかへげてしまってだれもおりません。

 どうしたらいいかわからず、うろたえて「ぬのはいやだ、たすかりたいよ」とつぶやいているうちに、それはだんだんいのりの言葉ことばにもちかくなったのでした。もうあれこれと戸惑とまどうことなく、一心不乱いっしんふらんいのはじめました。

 ぼくちかいます。仏様ほとけさまのようにいましめをまもり、真実しんじつき、慈悲じひこころってきます。ですからどうかぼくたすけてください。そしてとうさんもかあさんも、それからもりのみんなも...」

 自分じぶんことだけでなく、両親りょうしんやほかの動物どうぶつたちの無事ぶじも、一生懸命いっしょうけんめい無我夢中むがむちゅういのりました。そのヒナの姿すがたは、他者たしゃくるしみをすくおうとするいつくしみのこころにあふれ、えることによってきることのまこと道理どうりをわきまえる賢者けんじゃ姿すがたているのでした。ヒナはこころめてとなえました。

つばさがあっても べません
あしがあっても あるけません
とうさんかあさん おりません
どうかよ  えてくれ

 すると、どうでしょう。あれほどさかっていたがヒナのいるもり手前てまえで、一時いっときにたくさんのつめたいみずびたかのように、たちまちえてしまったのでした。ちいさなヒナはこの光景こうけい見入みいり、感謝かんしゃねんふるえたのでした。

(ジャータカ三五より)

参考「鶉経(ヴァッタ・スッタ)」

 みなさん、山火事やまかじは、護経パリッタ威力いりょくのゆえに菩提ぼだいかて菩薩ぼさつ十波羅蜜じっぱらみつ)をたし、うずらまれた大士だいし菩薩ぼさつ)からとおざかりました。ローカナータ舎利弗長老しゃりほつちょうろうかれ、一劫いっこうあいだ存続そんぞくし、大威力だいいりょくのあるその護経パリッタとなえよう。

 にはしゅすべきいましめほうがあり、真実しんじつがあり、(しんの)浄行じょうぎょうがあり、慈悲じひがある。この真実しんじつをもってわたし最上さいじょう真実語しんじつかたりそう。

 わたしほうちから観察かんさつし、むかし諸々しょしょ勝者しょうしゃ憶念おくねんし、真実しんじつちからたよって真実語しんじつかたりしたのだ。

 つばさがあってもべず、あしがあってもあゆめず、しかもちちははは(危険きけんかんじて)った。よ、ってけ。

 わたしが、真実語しんじつかたりをなしおわわると、おおいにえていた十六じゅうろくカリーサのあいだとおざかった。まるでみずところく(とえる)かのように。真実しんじつひとしいものはない。これは真実しんじつ波羅蜜はらみつである。

ウ・ウェープッラ著「南方仏教基本聖典」所収 護経(パリッタ)より

 鶉経は上座部仏教圏で日常的に読誦されるお経の一つ。火災を防ぐために読まれているそうです。

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