昔、バーラーナシーの都(で人々(は鳥(をかわいがって暮(らしており、ある金持(ちの家(で料理人(として働(いている男(も自分(の台所(に鳥(かごをひとつ下(げていました。
そこには白(いハトが住(み着(いていて、夜明(けにかごを飛(び出(しては食(べ物(を探(しに行(き、日暮(れになると帰(ってきたのでした。
ある日(のこと、そこへ一羽(のカラスが飛(んできて、そっと台所(の中(をのぞいてみると、大好(きな肉(や魚(が山(ほどあり、なんとかそれを食(べたいものだと考(えました。
カラスはそこの家(の鳥(かごにハトが住(み着(いているのを見(ると、ある計画(を思(いつきました。
次(の日(の夜明(けに、ハトが飛(び立(つと、カラスはその後(にぴったりとついていきました。
ハトはなんとなくおかしいと思(いましたが、カラスが別(にわるいことをしたというわけでもないので、そのままにしておくことにしました。
カラスはいつまでたってもついてきて、とうとう料理人(の家(の中(まで入(ってきました。
料理人(は「おやおや、うちのハトが、友達(を連(れてきたよ。それにしても、ハトとカラスの友達(というのはちょっと変(だな。」と言(って、もう一(つかごを台所(に下(げました。
カラスはそこで眠(りました。
次(の日(の朝(、ハトが外(へ飛(んでいくと、カラスは仕方(なく後(についていきました。
行(く途中(、料理人(の家(へたくさんの肉(や魚(が運(ばれていくのが見(えました。
家(に戻(ると、肉(や魚(はみんな料理(されて金持(ちの家(に運(ばれており、何(も残(ってはいませんでした。
―明日(はなんとか家(に残(って、そいつを失敬(してやろう。
翌朝(、カラスは、隣(のかごの中(でわざとじっとしていました。
「どうしたんだい」とハトが尋(ねると、「いや、どうも体(の具合(が悪(くてね。」とカラスは腹(を押(さえながら答(えました。
ハトはどうも怪(しいと思(いながらもカラスの様子(を見(、「ひょっとして君(、この家(のものをねらっているのではないだろうな。」と言(うと、「とんでもない」とカラスは首(を振(りました。
ハトは「変(な欲(は持(たないほうがいいよ。ひどい目(にあうのは自分(だからね。本当(に病気(なら、お休(みよ」と言(うと飛(びだって行(きました。
この日(もたくさんの肉(と魚(が運(び込(まれてきました。
料理人(が台所(を出(て行(くと、カラスはかごから出(てきました。
そして様子(をうかがって、台所(のなべや皿(の間(を歩(き回(りました。
肉(の入(っているなべのところに止(まりました。
ふたが少(しずれているので、そこにくちばしをつっこんで中(の肉(に食(いついたとき、ふたが床(の上(に落(ちてものすごい音(を立(てました。
音(を聞(きつけた料理人(が、あわてて部屋(に入(ってきました。
「この、どろぼうガラスめ」と料理人(は、カラスの首根(っこを捕(まえました。そして、羽(をむしって丸裸(にしてしまうと、からしにぴりぴりする調味料(をたくさん混(ぜてカラスの体(にすりつけ、かごの中(に放(り投(げました。
夕方(になって帰(ってきたハトは、かごの中(で苦(しんでいるカラスを見(つけ、「私(の忠告(を聞(かなかった罰(だ。欲張(った報(いは必(ず自分(に返(ってくるのだよ。しかしこの私(もこんなどろぼうを家(に入(れてしまったので、この家(にとどまるわけにはいかない」と言(って、料理人(の家(を去(っていきました。
(ジャータカ四二)