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仏教童話『ウズラ捕(と)りとウズラ』

日付:2009年9月 8日 関連記事:「仏教文化」140号より

 (むかし)、ある(おお)きな(もり)(なか)に、数千羽(すうぜんば)のウズラたちが住んでいました。

仏教童話『ウズラ捕(と)りとウズラ』
 その(もり)から(すこ)(はな)れた(むら)に、ウズラ()りの名人(めいじん)といわれる若者(わかもの)がいました。(かれ)毎日(まいにち)たくさんのウズラを()り、それを(みやこ)()りに()かけていました。「一体(いったい)(まえ)さんは、毎日(まいにち)あんなに(おお)くのウズラをどうやって()るんだ?」と村人(むらびと)一人(ひとり)が、うらやましそうに若者(わかもの)()きました。

 「ウズラの仲間(なかま)のふりをして、(こえ)のまねをして(さそ)()すんだよ」と得意(とくい)げにウズラ()りの秘訣(ひけつ)(はな)しました。それは、()真似(まね)でぞろぞろと(あつ)まってきたウズラの(うえ)に、上手(じょうず)にふんわりと(あみ)()げ、ゆっくりと()いていくという方法(ほうほう)でした。

 ウズラの(なか)にも(かんが)(ふか)い、(かしこ)いウズラもおりました。毎日(まいにち)仲間(なかま)のウズラが若者(わかもの)()()りにされてしまうのを(なさ)けなく(おも)っていました。

 ―ああ、どうしたらあの巧妙(こうみょう)手口(てぐち)から(のが)れることができるのだろう。

 一生懸命(いっしょうけんめい)(かんが)えた(すえ)自分(じぶん)(ちから)ではどうにもならないことに気付(きづ)き、森中(もりじゅう)のウズラたちに()びかけて、作戦(さくせん)提案(ていあん)しました。

 まず、(あみ)にかかった(とき)、あわてず自分(じぶん)(あたま)(あみ)()()れてしまうこと。(つぎ)に、(だれ)かの合図(あいず)でみんな一緒(いっしょ)にその(あみ)()()げ、そのまま()んでいってイバラのところへ(あみ)()っていく、という作戦(さくせん)でした。イバラのために(あみ)地面(じめん)()()かず、すきまを(いそ)いでくぐり()けて()げることが出来(でき)るというのでした。

 「なるほど」 「それならば、みんなでやればできそうだ」

 さて、若者(わかもの)はウズラたちがそんな相談(そうだん)をしたことなどつゆ()らず、(もり)へやってきました。

 (れい)によって、若者(わかもの)()きまねを(はじ)め、数十羽(すうじゅうわ)(あつ)まってきたのを()ると、得意(とくい)(あみ)()げかけました。

 若者(わかもの)自分(じぶん)()(うたが)いました。いつもならそこでウズラたちは()(さけ)び、ばたばたと大慌(おおあわ)てをするはずなのに、今日(きょう)はそのようなウズラもおらず、(あみ)地面(じめん)から()()がり、(うご)()したのです。そしてイバラの()えている(あた)りで()まりました。

 若者(わかもの)は、イバラの(うえ)(ひろ)がった(あみ)手繰(たぐ)()せようとしましたが、イバラのとげにひっかかって(うご)かず、やっとの(おも)いで(あみ)をはずし、(なか)()ると一羽(いちわ)見当(みあ)たりませんでした。その()若者(わかもの)何回(なんかい)何回(なんかい)(おこな)いましたが結果(けっか)(おな)じで一羽(いちわ)のウズラも()ることが出来(でき)ませんでした。

 翌日(よくじつ)もその(つぎ)()若者(わかもの)(もり)()かけては()ぶらで(かえ)ってくるのでした。若者(わかもの)(つま)はたまりかねて、顔色(かおいろ)()えて(おこ)りだしました。

 しかし若者(わかもの)()()いた様子(ようす)で「ウズラというのはあまり利口(りこう)(とり)じゃない。もう(すこ)()ってごらん。(いま)はただ、おれとウズラの根比(こんくら)べだ」

 それから数日後(すうじつご)一羽(いちわ)のウズラが(むし)()りに地面(じめん)()りたとき、ちょっとした(はず)みで、仲間(なかま)(あたま)()んでしまうと、()()いになり、本当(ほんとう)のけんかになってしまいました。

 ―つまらないことにすぐカッとしてけんかをするとは(こま)ったものだ。あのウズラ()りの(あみ)(なか)で、()(あらそ)いが(はじ)まったら最後(さいご)だ。

 そう(おも)った(かしこ)いウズラは(なか)のよい仲間(なかま)(もり)()()きました。

 若者(わかもの)はその2・3日後(にちご)、もとのとおりウズラの()きまねをして(あみ)()げました。ウズラたちは最初(さいしょ)、みんなで(あみ)()()げようとしましたが、(あみ)(なか)でけんかが(はじ)まりました。あのイバラのところまで(ちから)をあわせて(あみ)(はこ)ぶことなど、みんなが(わす)れてしまっていました。

 「お(かえ)りなさい。まあたくさんの獲物(えもの)だこと」と(つま)(もり)から(かえ)った(おっと)(むか)えたのでした。

(ジャータカ33)

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