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仏教童話 『良(よ)い日(ひ)、悪(わる)い日(ひ)』

日付:2009年2月10日 関連記事:「仏教文化」137号より

 あるとき、(みやこ)()らしている一家(いっか)遠方(えんぽう)田舎(いなか)(むすめ)(よめ)(むか)えることにしました。両家(りょうけ)相談(そうだん)をして結婚式(けっこんしき)日取(ひど)りもめでたくまとまりました。

 当日(とうじつ)になって、(みやこ)一家(いっか)主人(しゅじん)(うらな)()のもとへ()かけていきました。(かれ)()ごろから、なにかにつけてその(うらな)()(たよ)っていたのでした。

 「先生(せんせい)(じつ)今日(きょう)結婚式(けっこんしき)()げようと(おも)っているのです。今日(きょう)(いわ)(こと)にふさわしい()かどうか、(ねん)のためちょっと(うらな)ってみていただけませんか。」

 (うらな)()はこの言葉(ことば)()いて(はら)()てました。

 ―今日(きょう)結婚式(けっこんしき)をすると()めておきながら、(いま)になってそれが()いか(わる)いか(うらな)ってくれというのはいったいどういうことだ。(まった)無神経(むしんけい)なやつだ。これは(ひと)邪魔(じゃま)してやろう......。

 「ほう、今日(きょう)結婚式(けっこんしき)ですか。それはおめでたいことですね。大切(たいせつ)()ですから、特別(とくべつ)丁寧(ていねい)(うらな)って()()げましょう。」と(うらな)()()()(はら)った(こえ)()いながら()をつぶって(いの)るような(かお)をした(あと)(おとこ)()げました。

 「(こま)ったことになりましたよ。今日(きょう)(ほし)(うご)きは(いわ)(こと)(てき)さないと()ていますね。明日(あす)にしたほうがいいですよ。」

 (おとこ)(うらな)()言葉(ことば)()くと、もうすっかり田舎(いなか)(ひと)との約束(やくそく)()たす()をなくしてしまいました。

 さて、田舎(いなか)(むすめ)(いえ)では(あさ)(はや)くから結婚式(けっこんしき)支度(したく)(おお)わらわでした。(ひる)(ちか)くには準備(じゅんび)(ととの)い、(くび)(なが)くして(みやこ)(ひと)たちを()っていましたが、とうとう夕方(ゆうがた)になってしまいました。

仏教童話 『良(よ)い日(ひ)、悪(わる)い日(ひ)』
 田舎(いなか)(ひと)はすっかり(みやこ)一家(いっか)のだらしなさにあきれ、かねてから(むすめ)(よめ)にしたいと(のぞ)んでいた(おな)(むら)(おとこ)に、その()のうちに嫁入(よめい)りさせてしまいました。

 その翌日(よくじつ)(うらな)()言葉(ことば)(しん)じた(みやこ)(おとこ)(あさ)(はや)一家(いっか)そろって(むら)(いえ)へやってきました。

 「準備(じゅんび)して()っていたのに昨日(きのう)()なかったので、(むすめ)はもう(ほか)(おとこ)のところへ(よめ)にやってしまったよ。」

 (むすめ)父親(ちちおや)(こた)えに、(みやこ)(おとこ)はびっくりして()いました。

 「そりゃあひどい。あなたはわたしの(いえ)にと約束(やくそく)したじゃないか。」

 それを()いて、今度(こんど)(むら)(おとこ)(いか)りを爆発(ばくはつ)させました。

 「ひどいのはあんたたち(みやこ)(ひと)じゃないか。勝手(かって)(なん)連絡(れんらく)もなく()えてしまうなんて。」

 こうして()(あらそ)いが(はじ)まり、しまいには()()()いの大喧嘩(おおげんか)になってしまいました。

 この様子(ようす)(みやこ)名高(なだか)博士(はかせ)()ていました。(かれ)大声(おおごえ)()びかけました。

 「お(たが)いに乱暴(らんぼう)はやめなさい。(ほし)(めぐ)りとか()っていたが、その(ほし)とやらでどんな()いことがあるというのかね。(ほし)(うご)きなんかより、お(よめ)さんを(むか)えるという事実(じじつ)のほうが、よっぽどめでたくて()いことだと(おも)うがね。その()いことを(おこな)()最良(さいりょう)()()まっているんじゃないかな。こんなつまらぬ大喧嘩(おおげんか)をする()本当(ほんとう)()()なのだろうか。わたしから()れば最悪(さいあく)()だと(おも)うがね。」

仏教童話 『良(よ)い日(ひ)、悪(わる)い日(ひ)』
 こう()うと、博士(はかせ)(わら)いながらうたを(とな)えました。  (ほし)(うご)きで ()()しが
 ()まることなど ありゃしない
 (こと)()()し (こう)不幸(ふこう)
 (ひと)(こころ)で ()まること
 (ほし)(そら)から ()るばかり

(ジャータカ49)

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