ブッダガヤ → 鹿児島 → 伊豆
梶山さん(十三期曹洞)仲介 真照院でスクスク
お釈迦様がその木の下で悟りを開かれた菩提樹は、 インド・ブッダガヤの 「成道の地」 で、現在でも聖樹として世界の仏教徒から崇められているが、 その子孫の菩提樹がいま、 伊豆・真照院で確かに育っている。 「菩提樹」という名称はシューベルトの歌曲で知られているほか、 樹木そのものも国内のいくつかの寺院などにある。 中で茨城県下妻市には、「親鸞聖人御手植の菩提樹」 があり、 市の文化財に指定されている。 しかしこれらのほとんどは植物学的にみれば 「シナノキ科」 のもので、「クワノキ科」 のインドボダイジュとは別物。 釈尊に直接関わるのは後者の方で、 真照院のもインドボダイジュ。鹿児島大学助教授で仏教倫理学専攻の谷口昌陽さんがブッダガヤで入手した種が同大学の馬田英隆助教授の手で発芽、 育成され、 うち一本の苗が、塾十三期の梶山さんを通して真照院に送られた。
谷口さんは米国の学位をもつ学者で、かつ真宗本願寺派の尼僧さんでもある。 九八年、 米国で開教師をする夫やスリランカの僧侶らとともに、 ブッダガヤを詣でた。数日滞在して読経したりするほど熱心だったためか、 去り際に現地ガイドが数十個もの果実をプレゼントしてくれた。 根元に 「金剛宝座」を抱える菩提樹から落ちたのを拾い集めた、 という。 一個の大きさは一・五センチほどの球状で、中にはちょうど黒ごまのような形をしたタネがぎっしり詰まっていた。 日本に持ち帰ったものの、 なにせ熱帯植物である。どう扱ったものか思案しているうち、 農学部で演習林を担当する馬田さんに預けることになった。 馬田さんにとっても初めてのしろものだったが、専門の知識と技術を駆使した結果、 タネは発芽し、 やがて葉のついた苗木に成長した。 葉の形はスペード型だが、下方の先端がしっぽのように細長く、 明らかにインドボダイジュの特徴をもっていた。タネは谷口さんが米国で知り合いになった愛知県西尾市在住のバラ生産業浅岡正玄さんのもとでも発芽、 成長した。
谷口さんによれば、 お釈迦様は 「菩提樹を尊敬することはシャカムニ・ブッダを尊敬するのと同じように大きな喜びをもたらす」 と教えている、という。 そうした考えで浅岡さんともども仏教布教の一環として広く菩提樹頒布を始めた。 入手した人たちの間ではすでに 「菩提樹を囲む会」という運動体もできている。
シナノキ科ではなく、 熱帯植物のクワ科の正真正銘のインドボダイジュが、谷口さんたちよりも早くから日本国内で栽培されているのは京都府園部町にあるバイオセンターに例をみる程度。しかもそれはブッダガヤの分け木としてスリランカで育つ木の、 さらなる分け木。 ブッダガヤの聖樹に直結し、 しかも国内で発芽、育成されたのは極めて珍しい。
この夏谷口さんは日本インド学仏教学会出席のため上京。会場の東京大学で本業の仏教に関する論文を発表した。 たまたま梶山さんが聴講しており、 さらに詳しい内容を知るため谷口さんに近寄り、菩提樹のことにも話題が及んだ。 梶山さんはこの三月まで曹洞宗を履修するため通った真照院に連絡して育成を打診。ただちに谷口さんに依頼するとすぐ、 宅急便で菩提樹が届けられた。
真照院では常駐している鈴木さん (十二期) が注意深く育てている。 苗木は一カ月半ほどで約六センチ伸びて三十五センチほどになり、 「しっぽ」のあるインドボダイジュ特有の葉も四枚ふえて増えて十三枚になった。 問題は気温が下がるこれからの季節をどう乗り越えるか。鈴木さんたちは「お寺のシンボルにもなりうる大変貴重なものをいただいた。冬は室内、それもガラス越しに陽が差し込む場所に置かなければ」と早くも越冬に思いを馳せている。
梶山さん(十三期曹洞)仲介 真照院でスクスク
お釈迦様がその木の下で悟りを開かれた菩提樹は、 インド・ブッダガヤの 「成道の地」 で、現在でも聖樹として世界の仏教徒から崇められているが、 その子孫の菩提樹がいま、 伊豆・真照院で確かに育っている。 「菩提樹」という名称はシューベルトの歌曲で知られているほか、 樹木そのものも国内のいくつかの寺院などにある。 中で茨城県下妻市には、「親鸞聖人御手植の菩提樹」 があり、 市の文化財に指定されている。 しかしこれらのほとんどは植物学的にみれば 「シナノキ科」 のもので、「クワノキ科」 のインドボダイジュとは別物。 釈尊に直接関わるのは後者の方で、 真照院のもインドボダイジュ。鹿児島大学助教授で仏教倫理学専攻の谷口昌陽さんがブッダガヤで入手した種が同大学の馬田英隆助教授の手で発芽、 育成され、 うち一本の苗が、塾十三期の梶山さんを通して真照院に送られた。
谷口さんは米国の学位をもつ学者で、かつ真宗本願寺派の尼僧さんでもある。 九八年、 米国で開教師をする夫やスリランカの僧侶らとともに、 ブッダガヤを詣でた。数日滞在して読経したりするほど熱心だったためか、 去り際に現地ガイドが数十個もの果実をプレゼントしてくれた。 根元に 「金剛宝座」を抱える菩提樹から落ちたのを拾い集めた、 という。 一個の大きさは一・五センチほどの球状で、中にはちょうど黒ごまのような形をしたタネがぎっしり詰まっていた。 日本に持ち帰ったものの、 なにせ熱帯植物である。どう扱ったものか思案しているうち、 農学部で演習林を担当する馬田さんに預けることになった。 馬田さんにとっても初めてのしろものだったが、専門の知識と技術を駆使した結果、 タネは発芽し、 やがて葉のついた苗木に成長した。 葉の形はスペード型だが、下方の先端がしっぽのように細長く、 明らかにインドボダイジュの特徴をもっていた。タネは谷口さんが米国で知り合いになった愛知県西尾市在住のバラ生産業浅岡正玄さんのもとでも発芽、 成長した。
谷口さんによれば、 お釈迦様は 「菩提樹を尊敬することはシャカムニ・ブッダを尊敬するのと同じように大きな喜びをもたらす」 と教えている、という。 そうした考えで浅岡さんともども仏教布教の一環として広く菩提樹頒布を始めた。 入手した人たちの間ではすでに 「菩提樹を囲む会」という運動体もできている。
シナノキ科ではなく、 熱帯植物のクワ科の正真正銘のインドボダイジュが、谷口さんたちよりも早くから日本国内で栽培されているのは京都府園部町にあるバイオセンターに例をみる程度。しかもそれはブッダガヤの分け木としてスリランカで育つ木の、 さらなる分け木。 ブッダガヤの聖樹に直結し、 しかも国内で発芽、育成されたのは極めて珍しい。
この夏谷口さんは日本インド学仏教学会出席のため上京。会場の東京大学で本業の仏教に関する論文を発表した。 たまたま梶山さんが聴講しており、 さらに詳しい内容を知るため谷口さんに近寄り、菩提樹のことにも話題が及んだ。 梶山さんはこの三月まで曹洞宗を履修するため通った真照院に連絡して育成を打診。ただちに谷口さんに依頼するとすぐ、 宅急便で菩提樹が届けられた。
真照院では常駐している鈴木さん (十二期) が注意深く育てている。 苗木は一カ月半ほどで約六センチ伸びて三十五センチほどになり、 「しっぽ」のあるインドボダイジュ特有の葉も四枚ふえて増えて十三枚になった。 問題は気温が下がるこれからの季節をどう乗り越えるか。鈴木さんたちは「お寺のシンボルにもなりうる大変貴重なものをいただいた。冬は室内、それもガラス越しに陽が差し込む場所に置かなければ」と早くも越冬に思いを馳せている。
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