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修了レポート 【日蓮宗】

日付:2009年5月 1日 関連記事:「仏教文化」138号より

「日蓮聖人の主遺文たる三大部と、その内容の概略について」
第21期 水野

 日蓮聖人は、六十一年の生涯を、現世仏国土実現に向け、法難を喝破し歩まれた、法華経色読の行者である。

 末法の鎌倉時代にあって、「現世厭離・極楽往生」思想を完全否定し、「娑婆即常寂光土」絶対現世肯定の理念に燃え、為政者を正し続けた聖人の生き様は、時代苦、人生苦に立ち往生する人々に、大きな希望と救いを与えた。数多くの遺文どれもが、聖人の肉声であり、そして心である。

 日蓮聖人の遺文の中で、特に宗義上重要な著作を「三大部」と呼ぶ。立正安国論、開目抄、如来滅後五五百歳始観心本尊抄の三編であり、この三大部によって、日蓮聖人の教学と信仰を知ることが出来る。

 三大部の一は、立正安国論である。

 1260年、聖人三十九歳の、この書は、時の権力者、北条時頼に、国家諌暁の書として出された。

 続出する天災の原因を、法華経を「捨閉閣抛」と謗法した法然の、現世否定の念仏の流行にある、とされた。故に、為政者が念仏を禁じ、末法救済の正法=法華経に帰依すれば(立正)、国土は平和な仏国土(安国)となると正された。為政者が信仰を誤れば、七難起こると説かれ、五難は既に起っており、残る「国内の戦乱」「外国からの侵略」が起こると、予言された。

 『汝、須らく一身の安堵を思はば、先づ四表の静謐を祈るべし』『汝、早く信仰の寸志を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国土なり、仏国それ衰えんや』と、為政者の信仰を正すことを急務とされた。

 この世こそ、今、此こそが、浄土なのだと言う、日蓮聖人の法華経の行者としての、思想と実践の原点を成す書であり、つづく門下の諫暁の、基本宗義書である。

日蓮宗コースの教場となった妙厳寺日蓮宗コースの教場となった妙厳寺
 三大部の二は、開目抄である。

 1272年、聖人五十一歳の、この書は、龍の口などの法難に対する信徒の疑念を晴らし、聖人こそが法華の行者=上行菩薩であると、明らかにされた書である。真実の法と人とに迷える者の目を開かせる書である。

 『日蓮といひし者は去年九月十二日子丑の時に頸刎ねられぬ。此は魂魄佐土の国にいたりて返年の二月雪中にしるして...有縁の弟子へをくれば...未来日本国、当世をうつし給、明鏡なり、かたみともみるべし』

 龍の口での死罪の試練を経て体得せられた宗教観を、門下への「かたみ」として、法華経こそ仏法の真髄と説かれ、迹門には二乗作仏、十界互具、一念三千を明らかに、本門には久遠実成の本仏釈尊を明らかにされた。

 天台、伝教大師も体験しなかった、法華経に説かれる方難を、日蓮聖人は体験したとして、凡身は龍の口に死に、釈尊により法華経弘通を委嘱された、本化上行菩薩として生まれかわったと、決意を明らかにされた。

 『我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ』と、法華経の行者としての信を伝える書である。ゆえに、「人開顕の書」と呼ばれる。

 三大部の三は、如来滅後五五百歳始観心本尊抄である。

 1273年、聖人五十二歳の、この書は、仏滅後、末法五五百歳始(闘諍堅固五百年)の日本にあって、法華経の行者=上行菩薩なる日蓮聖人が、法門の真髄である、本門の観心(=お題目)と、本尊とを初めて顕わした末法救済の大法を説かれた書である。

 すべての人々が成仏の法理である、一念三千と、久遠の生命をもつ釈尊の因行(修行)と、悟りの果徳(功徳)のすべては、南無妙法蓮華経の題目に具っているとされた。成仏の種である一念三千についても、理の一念三千ではなく、事の一念三千(寿量品文底、本門の一念三千=本門肝心妙法五字七字)であると明らかにされた。信によって本仏と一体となり、一心お題目を唱え持つ「信心行」である、とされた。

 久遠実成の教主釈尊を、本門の本尊。人と本尊が交わる契機を、本門の題目。本尊と人が感応する空間を、本門の戒壇。とされた。つまり、末法の人々は、戒壇(=即是道場)に於いて本尊に向かい、南無妙法蓮華経と、お題目を信じ唱える行によって、広大な教主釈尊の慈悲救済の只中にあることを実感出来る、とされた。

 仏性に目覚めた人々が、久遠の釈尊と一体仏となり、この世に永遠不滅の仏国浄土を実現するのである、とされた。ゆえに「法開顕の書」と呼ばれる。

 以上が、三大部と、その概略である。

 『法華・涅槃を信ずる行者は、余所を求むべきに非ず。此の経を信ずる人の所住の処は即ち浄土なり』(守護国家論)

南無妙法蓮華経 合掌 以上。

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